日米協会からのお知らせ

第四回日米協会 金子堅太郎賞決定

長年にわたり草の根の活動を行い日米関係に貢献した人に贈る日米協会金子堅太郎賞の受賞者が決まった。日本からは自らの被爆体験に基づき平和活動を続けてきた川妻二郎さん(95歳)、米国からはマサチューセッツ州の元大学講師で日米の文化交流に貢献した森田喜代子ケインさん(76歳)、ポートランド日本庭園により日本庭園文化の地位向上に貢献したオレゴン州 黒崎美生さん(64歳)とスティーブ・ブルームさん(54歳)が受賞する。 また特別賞が政治学者ジェラルド・カーチス教授(81歳)、画家の千住 博さん(64歳)に授与される。なお授賞式は9月20日(火)午後3時半より東京港区の国際文化会館で行われる。

 

金子堅太郎賞について
金子堅太郎は日米協会の初代会長。セオドア・ルーズベルト大統領と親交があり日露戦争後のポーツマス講和会議への道筋をつけたことで有名。同氏の名を冠した賞は2017年の日米協会創立100周年を記念して制定された。日米各地の日米協会(日29、米38)の会員などからの推薦を受け、草の根レベルで長く日米交流に貢献した個人に金子堅太郎の肖像入りの盾が与えられる。また副賞として金一封が授与される。
また日米関係に貢献した著名人には副賞なしの特別賞が贈られる。
選考委員会は、茂木友三郎キッコーマン名誉会長(委員長)、大橋洋治全日空ホールディングス相談役、クリストファー・ラフルール在日米国商工会議所シニア・アドバイザー、国谷裕子ジャーナリスト、久保文明東大名誉教授、藤崎一郎日米協会会長の6名で構成される。
なお次回の賞選定は2024年に行われる予定。

 

川妻二郎さん (日米協会会員推薦)
広島県出身、95歳。
18歳の時に広島で原爆により姉を亡くした苦しみを長年背負ってきた。広島大学卒業後 帝人㈱に就職するが1973年広島に戻り、広島南ロータリークラブへ入会、2013年に開催された国際ロータリー世界平和フォーラム(広島)では実行委員長、以来青少年育成プログラム開発に力を注ぎ、世界平和と教育の大切さを伝え続けてきた。 2015年88歳の時に単身で東京へ移住し、残された人生を平和構築に注力し始めると共に世界各地で「平和:被爆樹木プログラム」を展開。被爆樹木の苗床及び種が専門家の協力のもと、ハワイ、カリフォルニア、ジョージアなど北米を中心に、世界中へ未来への願いを込めて大切に届けている。 これと共に米国各地で自らの被爆体験を語り、平和を呼びかける活動を実施してきた。

現在95歳の川妻氏が望むのは「自分と同じような体験をしたり、沢山の命をなくしたりする戦争を2度として欲しくない。核兵器を使う判断をするのは人間である。そのためにも未来を担う子供だけでなく親や地域コミュニティを巻き込んで平和の大切さを自らが考えて伝え続けて欲しい」ということ。1995年藍綬褒章、 2003年に旭日小綬章を受章。

 

Kiyoko Morita Caineさん (ボストン日米協会会員推薦)
群馬県出身、76歳
森田喜代子ケインさんは、数十年にわたり、マサチューセッツ・北海道姉妹州協会会長、ボストン日本協会理事、ボストン・京都姉妹都市60周年企画委員長などを歴任、グレーターボストン地域における日米友好の柱として活躍して、大学で日本語を教える傍ら、お香、生け花、落語、俳句、各種の美術工芸作品など日本の芸術と文化を伝えてきた。

ボストン・京都姉妹都市記念事業では、千年の歴史を誇る祇園祭「長刀鉾」囃子方の海外初めての演奏をボストンとオレゴン州ポートランド市で、更に工芸京都作家集団の3ヶ月にわたる展覧会をボストン美術工芸協会と協力して実現させた。 いずれもケインさんの強い意志で取り組み、この交流に関わったすべての人に感動を与えた。

ケインさんは、日本人とアメリカ人が交流を深める機会を増やすために常に努力しているが、これらは、日米で育んできた数十年にわたる友情があってこそ実現したものと言える。ケインさんの同僚や友人は彼女の無私で精力的な奉仕活動を評価して種々の要職に選出してきた。

 

オレゴン州ポートランド日本庭園(Portland Japanese Garden)
同庭園は「海外で最も美しく本格的な日本庭園」(故松永信雄駐米大使)として、世界における日本庭園文化の地位向上に大きく貢献してきた。この庭園の近年の維持拡大に貢献のあったスティーブ・ブルームさん(CEO、ニューヨーク州出身、54歳)、黒崎美生氏(理事、東京都出身、64歳)を表彰する。(日米協会会員推薦)

同庭園は第二次大戦が残した両国間の傷跡を癒すため地元の有志によって1963年に設立、2015年から17年にかけて大規模な拡張計画が展開され、現在の5万平米に及ぶ現在の姿が完成した。黒崎氏は、新一世として日本から帰化し、理事や会長も務めた「オレゴン日米協会」への支援を通じて各方面で日本との市民交流に奮励し、かつ2002年からPJGの財務会計委員会委員長、理事選定委員長、副会長などを歴任すると共に、その他の非営利団体、学術、姉妹・友好都市交流でも貢献をしてきた。またブルーム氏は2005年に同庭園にCEOとして参画し、同庭園の目覚ましい発展のために、卓越したビジョンと大規模な資金調達によるダイナミックなリーダーシップを発揮してきた。現在では年間50万人を超える入場者数を誇る。ポートランドは「ローズ・シティ」と知られてきたが、今では加えて「ポートランド日本庭園」が市民の誇りとなっている。

 

特別賞
ジェラルド・カーチス教授 (日米協会会員推薦)
米国ニューヨーク州出身、81歳。
1964年、コロンビア大学で国際関係学修士号、1968年、同大学で博士号取得。1998年から2015年までコロンビア大学の政治学のバージェス教授を務め、現在は同大学の政治学の名誉教授として47年間教鞭をとり、教え子の多くは日米の各界のリーダーとなっている。 日米比較政治、日米関係の研究に深く関わり、多くの日本の首相や政治家に助言を行ってきた。 また、英国王立国際問題研究所(チャタムハウス)にも籍を置いている。日本では、東京大学、早稲田大学、慶応義塾大学、政策研究大学院大学で教鞭をとっている。

また、モーリーン・アンド・マイク・マンスフィールド財団の理事会会長でありニューヨーク日米協会、日本国際交流センターとその米国関連会社JCIE/USAの理事、米日カウンシルの評議員、外交問題評議会のメンバーでもある。

 

千住博さん(ニューヨーク日米協会推薦)
東京都出身、64歳

日本芸術院会員で京都芸術大学教授の千住博氏は、ニューヨークを拠点に米国をはじめ世界中の多くの展覧会や美術館で作品を発表している。

千住さんは、これまでヴェネチア・ビエンナーレでアジア人アーティストとして初めてHonorable Mentionを受賞した他、イサム・ノグチ賞、イーグル・オン・ザ・ワールド賞などを受賞してきた。滝や崖は特に有名である。また戦前から戦後にかけての日米文化交流の中心地であり建国200年祭のために再組立・復元された松風荘には、日本家屋・庭園に20枚の襖絵による室内インスタレーションを制作、寄贈した。シカゴ美術館での展覧会は好評により6か月以上会期が延長されるなど米国で高い評価を得ており、作品は、メトロポリタン美術館、ブルックリン美術館、ロサンゼルス郡美術館、ロサンゼルス現代美術館、シカゴ美術館、アジア美術館、ネルソン・アトキンス美術館などにも所蔵されている。日本では2011年には軽井沢に「千住博美術館」を開館。長年にわたり、日米の若手美術家の育成に貢献してきた。

 

 

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